-猫とは、世界中で広く愛玩動物として飼われている、ネコ科の小型動物である。
体は現存する他のネコ科の動物に比べて小さく、体重は2.5~7.5kg程度である。
非常に優れた平衡感覚に、柔軟性と瞬発性の極めて高い体の構造、武器である鋭い鉤爪や牙を持ち、足音が非常に小さく、体臭が少ない。
吻部が突出していない丸い頭部を持つ。
汗腺は発達しておらず、しっかりと汗がかけるのは足の裏(肉球)だけのため、熱中症になりやすい。
肉球は、滑り止めの役目を果たす他、マーキング、着地時のクッションのような役目にも使われる。そのため、肉球の周囲の毛が伸びていると滑りやすくなり、危険である。また、猫の可愛さの一つであり、ぷにぷにとした触感は多くの猫好きを虜にしている。
猫は半年から1年ほどで生殖可能になり、5歳くらいから落ち着いた雰囲気を醸し出し始め、7歳あたりから高齢期に差し掛かり、20歳超えはかなりの長寿とされる。
野良猫と飼い猫の寿命には歴然とした差がある。前者は多くの天敵や事故・怪我・病気やそれに伴うストレスに晒されており、寿命は3~5年といわれ、その大半が子猫のうちに死亡する。
関節が緩やかで、筋肉や靱帯も柔らかいため、頭の周り以外は体のほぼすべての場所を自分で舐めることができる。特に肩の関節は可動性が高く、鎖骨は退化しているが、小さいながらも存在しており(鎖骨がないと木登りができない)、筋肉でつながっている。これらは高い所から着地した場合の衝撃を吸収することに役立っている。また、内臓を前後に移動させることができ、これを利用する形で狭い場所を通ることが出来るよう身体の幅を自在に調節することが可能となっている。
待ち伏せ型の肉塾動物である猫は、俊敏な運動能力を持っており、瞬発力が高く、跳躍力にも長ける。跳躍力は、およそ体長の5倍程度(約1.5m程度)のところに飛び上がることができる。走る速度は最高でおよそ時速48kmといわれるが、長くは続かない。平衡感覚を司る三半規管の能力とは別に、猫には小脳の視覚に優れた水平線検出能力が備わっており、空中で正しく上下を判断し、4本足で着地を行う。2、3mの高さであれば、怪我せずに飛び降りることができる。
犬かきで泳げるが、水に入ったり水にぬれることを嫌う個体が多い。
歩行方法は、指先立ちの趾行である。
被毛は品種により、さまざまな毛色や毛質のパターンを持つ。同品種でも多様な色彩や模様を持つ珍しい動物である。
顔の大きさの割にかなり大きな眼を持っており、これが猫を可愛いと思わせる一因にもなっている。
視覚については、特に対象の動きを捉えることを得意とする。8mくらいの距離なら人間の顔を識別でき、20m以内のものであればじっと見ることにより距離感をかなり正確に測ることができる。
瞳孔は縦に細長くなっており、明るい所では細長く、暗い所では最大で300倍(人間は最大で15倍ほど)まで広げて光の入る量を多くすることが可能なため、暗所での視力はよい。
他の多くの夜行性動物と同様、ネコの眼には輝板(タペタム)と呼ばれる層が網膜の下に備わっている。この層が光を反射するため、入射光と反射光の両方の光が網膜を通過することになり、わずかな光でも物を見ることができる。この反射光のため、暗所で観察者側から照明を当てたとき眼が光って見えることがある。夜でもよく見えるネコの眼は非常に敏感で、フラッシュ撮影をしたりすると嫌がったりストレスを与えることとなり、目を痛めてしまう可能性もあることが指摘されており、プロカメラマンは猫の撮影の際にはフラッシュを控えるか、外付フラッシュで猫ではなく天井に向けて光らせるなどの方法を薦めている
2色型色覚だが、色の識別は困難である。3色型色覚の青と緑は認識できるが、赤を認識する能力は低く、黒っぽく見えているだけのようである。
虹彩が大きな割合を占めており、人間でいう白目(球結膜)は面積が非常に狭く、通常見られない。
眼の色は、色の濃淡などの違いがあるものの、おおむね以下の4種類に分けられる。
生まれて間もない仔猫の場合、品種に関わらず、虹彩に色素が沈着していない場合が多く、青目に見えることが多い。これを「キトゥン・ブルー」という。生後7週間くらいから虹彩に色素がつき始め、徐々に本来の眼の色になっていく。
ネコの五感で最も優れているのは聴覚である。可聴周波数は60Hz~65kHzとされ、イヌの40Hz~47kHz、ヒトの20Hz~20kHz に比べて高音域に強い。耳は片方ずつ別々に動かすことができ、異なる方向の音を聞き分けることができる。そのため、指向性が強く、音源の場所をかなり正確に特定することができる。音の聞き分けの能力も高い。耳の動きは感情にも左右され、特に猫がおびえているときや不満を感じているときなどは、耳はうしろ向きに伏せられる。
鼻は、他の動物に比べてそれほど優れているわけでもないが、それでもヒトと比べれば数万から数十万倍と言われる嗅覚を持つ。体のバランスに比べて小さくできているが、鼻腔内部は凹凸に富み、大きな表面積を生み出しているため、小さな鼻の外観だけからは予想できない優れた嗅覚がある。
さらに鼻以外に、フェロモンを感知できるヤコブソン器官があり、目を半分閉じて笑っているような表情を示し、口から空気を吸うフレーメン反応を行う。これはフェロモンを分析している行動である。これにより、相手のネコなどがどういう状態にあるかを分析する。また毛づくろいで自分の肛門の周囲をなめたときにもこの反応を示すことがある。
マタタビやキャットニップなどを嗅ぐと、ネコは恍惚として身悶えるような反応を示す。これらの植物に含まれるマタタビラクトン類の物質がヤコブソン器官を反応させ、ネコに陶酔感をもたらす。これはネコ科全般の動物に起こる反応で、マタタビに含まれるネペタラクトールに蚊の忌避効果があることから体を擦り付ける反応になったとする仮説が立てられた。
鼻の鼻腔内には、温点と冷点の温度受容体がある。
また、ネコの鼻は個体によって異なる、鼻紋と呼ばれる紋様を持っており、人でいうところの指紋と同じもので、個体の識別に用いることが可能である。
舌は薄く締まっており、表の面には多数の鉤状突起があってザラザラしているが、これは骨に付いた肉をしゃぶりとるのに適応している。この突起は毛づくろいや水を飲む際にも役立つ。この糸状乳頭と呼ばれる突起の形状は管を半分に割ったような形をしており、そこに唾液などを含むことができる。お菓子のラングドシャはフランス語で「猫の舌」という意味である。
熱い食べ物が苦手な人を「猫舌」というが、猫のみが特に熱いものを嫌うというわけではない。野生動物は山火事などの後に屍肉を漁るくらいしか熱を持った食物を口にする機会がなく、全般的に熱いものに慣れていないためである。
ネコ科の動物に共通する特徴であるが、味蕾が他の哺乳類とは異なっており、甘味を認識することができない。
アミノ酸に対する反応が強く、特に苦味を認識する味蕾は多くある。これはアミノ酸が腐敗したときの苦味を強く感じることによって、腐肉を食べることを避ける役割を担っていると考えられている。猫の食物に対する嗜好は、これらの味蕾の構成の違いが要因の一つと考えられている。
猫のひげ(洞毛)は感覚器として重要な役割を果たしており、猫を象徴する特徴の一つとしてその印象を大きく左右する。品種や個体によってその数は異なり、少ないもので6~8対、多いもので27対程度と幅広い。スフィンクスのように口ひげがほとんどあるいはまったくない個体がいる品種もある。ネコのひげは毛根部分に感覚神経や血管が密に分布しており、非常に鋭敏で、先端に何かが少し触れても感じ取れる。ひげの状態は猫の感情によって変化する。たとえば目の前にあるものに好奇心を持つとひげは前に向き、おびえているときはぴったり頬にくっつくことが多い。口の周り(ウィスカーパッド、通称「ひげ袋」)だけでなく、眼の上、顔の横にもあり、それらの先端を結ぶと顔を一周する大きな円になる。ひげは定期的に抜け落ちて生え変わるが、他の毛と比べて3倍ほど深く皮膚に埋まっているため、無理に抜くと強い痛みを与えることになる。
尾はおおむねその胴体ほどの長さであるが、極端に短いものや、尾がない個体もある。尾の役割は、感情を表すほか、走行時や跳躍・着地の際に体のバランスを取る役割がある。イエネコについては尾がなくても行動にほとんど支障はないと考えられている。
尾は脊髄と直結しているため、非常に痛覚が強い。よって、尾を持って引っ張ったりすると大人しい個体でも抵抗する。また猫の尻尾を強く引っぱると、内臓に障害を起こしたり、脊髄に損傷を起こし、後肢などに障害が発生することもある。
襟首と呼ばれる頸(首)の後ろの皮膜は痛点が鈍化しており、親猫が仔猫を運ぶときここをくわえる。この特徴は成猫になっても残るため、成猫でもヒトがここをつかんで持ち上げることができる。持ち上げなくとも襟頸を掴むだけで大人しくなる傾向があるため、気性の荒い猫や野良猫を扱う際に有効である。これは、母猫が危険を感じた時にしか使われない方法のため、猫は緊張して動きを止めていると考えられている
母猫が仔猫の襟首をくわえて持ち運ぶことがあるが、これはくわえても仔猫に悪影響のない場所を母猫は本能的に知っているからできることであり、人間はその場所を知らないため、むやみに襟首を掴んで持ち上げると猫の頸を絞めてしまうことになりかねない。また、筋肉に悪い影響を与えるという説や、成猫を持ち上げると首にかかる負担が大きく、刺激として掴む程度にするのがよいとされる。
猫の指の数は、通常前肢が5本、後肢が4本であるが、多指症という奇形が頻繁に見られ、後肢に5本、あるいは前肢に6本というような猫も少なくない。前肢、後肢に各7本、合計28本の指を持つ猫が「世界一指の多いネコ」としてギネスブックに記載されている。
鉤爪はといで鋭さを保つ。爪を自由に出し入れできるので鋭さを常に保持でき、チーター以外のネコ科動物に共通する特徴である。木登りをしたり高所も移動するが、頭を下にして降りる時に爪が引っかからない指の向きであり、降りるのは得意でなく飛び降りる事が多い。ちなみに人に爪を立てることがあるが、動くとさらに食いこむため動かず離すのを待つほうがよい。
日本では猫の鳴き声は「ニャー」、「ミャー」などの擬音語を用いるのが一般的。アメリカでは「meow」、イギリスでは「miaow」、ドイツでは「miau」、フランスでは「miaou」、中国では「miāo(喵)」、イタリアでは「miao, gnao(ニャオ), gnau(ニャウ)」と表す。
「ニャー」とは異なるものとしては、以下のようなものがある。
いわゆる「ニャー」という鳴き声は、子猫が親猫に対して注意をひくための鳴き声であり、自然界で大人の猫がこの声で他の猫とコミュニケーションを取ることはない。人間に対して大人の猫がこの声を発するようになったのは人間の気を引くためとされる。
他のネコ科動物にも見られる「ゴロゴロ」と喉を振動させる音のメカニズムには複数の説があり、はっきりとしていない。この音は、親子間のコミュニケーションにも用いられる。
猫が「カカカ」のように歯を打ち鳴らしているような音を出す現象をクラッキングといい、ネコ科の動物でも猫だけが発するものである。
猫の語源が「寝子」であるという説もあるほどにイエネコの睡眠時間は人間に比べて長い。一般的に、猫は一日の大半を寝て過ごすといわれている。睡眠時間が長い傾向にあるのは、ネコ科の動物、肉食動物に共通して見られる傾向である。
腹部を地に付け、四肢をたたみ、尾を身体側に引き付けたうえで、背を丸めてうずくまる、という猫の姿勢を『香箱を作る』(香箱座り)と表現する。香箱の蓋の丸く盛り上がった甲の形に由来している。 香箱座りは、前足を完全に折り畳んでいるため、特にリラックスした状態である。
香箱座りの猫
野良猫に限れば、外敵に対する警戒を怠ることができないため、睡眠時間は人に飼われている猫よりかなり短くなり、眠りも浅い。
一方で完全屋内飼育の猫の場合は、外敵に対する警戒の必要もないため、仰向けやそれに近い姿勢でリラックスして寝る場合も見られる。同じネコ科の野生動物においても、同様の姿勢が生態系の頂点に位置し天敵が存在しないライオンにおいて見られる。
放し飼いの地域猫や野良猫や野猫の場合は太い木の幹、飼い猫の場合は壁や柱などを引っかいたり、爪を噛んで引っ張って爪とぎをする。猫に限らず、狩りをする動物の多くに見られる行動である。「研ぐ」のではなく「さや」を剥がして鋭くし、いつでも狩りに使えるようにしておく手入れの他、縄張りを他のネコに対して示す意味がある。飼い猫の場合、家具や壁紙などの意図せぬ場所での爪とぎを防止するため、爪とぎ台や爪磨きの付属したキャットタワーなどを用意しておくとよい。また、爪とぎする場所も教えておく必要がある。
爪を切る場合、猫の鉤爪の根元側は肉・神経・血管が通っており、先端部分だけを丁寧に切らなければならない。ピンクがかった髄の部分を切除すると苦痛を訴えたり、場合によっては出血を伴う恐れがある。また、外科的に爪を除去してしまう手術があるが、本能と深く結びついた道具を失うことになり、ストレスや問題行動の原因となる可能性があるため、この手術を禁止している国は多い。
猫は肉食動物が持つ狩りの武器をすべて持っているが、攻撃する際には、前足や後ろ足がよく用いられる。前足を前に差し出し、スナップを利かせて攻撃対象を招き寄せるかのように足裏で攻撃する攻撃方法は猫パンチと呼ばれる。また、前足で攻撃対象をしっかり抱き抱えて倒れこみ、後ろ両足で蹴りを繰り返して入れる攻撃方法は猫キックと呼ばれる。いずれの場合も、自由に出し入れできる鉤爪を出して攻撃することで、より高い攻撃力が得られ急所にとどめをさす。
噛み付きも、仔猫同士の取っ組み合いなどでよく用いられる攻撃方法である。猫キックと同時に用いることもある。
ネコは通常、起きている時間の30~50%を毛づくろいに費やす
体が柔軟なので頭の周り以外をくまなくなめることにより空気層を作り保温、唾液により体温低下、清潔になる。また、濡れた毛を乾かす。舌の届かない部位(顔・首・頭など)は前肢に唾液を含ませて拭く。「猫が顔を洗うと雨が降る」というが、晴天でも顔を拭く。足をなめる際に爪を噛んで引っ張って爪とぎをする。
子猫が母猫の母乳を飲むときに見られるしぐさ。 前足でやわらかいものをふみふみ・もみもみするのは、前足をグーパーさせながら母猫の乳房を揉んで刺激することで、母乳が出やすくなるとされている。 成猫になってからも毛布やタオルなどやわらかいものを前足で、もむようにふみふみするのは、この子猫時代の名残りだと捉えられている。うっとりしながらふみふみしている時は母猫の母乳を飲んでいて気持ちよかったという潜在的な記憶がよみがえり、とても心地よい状態にあると考えられている。
猫はお腹を見せて寝転ぶ、「へそ天」と呼ばれる寝姿を飼い主の前で見せることがある。この動作は、飼い主を信頼していること、安心感から「お腹を出しても大丈夫」と猫が感じるリラックスできる場所であると感じていること、「一緒に遊びたい」という気持ちを抱いていること、飼い主のほか仲良くしたい子猫や他の猫に、お腹を見せることで「警戒心を解いてほしい」と意思表示しているなどが理由と考えられている。また、このポーズは子猫が母猫に対してよくするポーズであり、甘えたい、かまってほしいという意思表示である場合である。
尾からうかがえる感情としては以下のようなものが挙げられる。
比較的機嫌の良いとき。歩くときは立てていることが多い。個体によっては立てながらくねくねと動かしている場合もある
速く大きく振っているときは不快なとき。イヌから類推して喜んでいるとするのは誤解である。飼い主に呼ばれると軽く数回振って応えることもある。また、狩りや遊びなどで興奮しているときも横に振ることがある。リラックスしているときも、ゆっくり大きく振ることがある。
おびえているとき。通常、耳を後ろに伏せていることを伴う。
威嚇しているとき、または、驚いたとき。威嚇しているときは全身の毛を逆立てることを伴う。
相手に親愛の情を持っている。
注意深く観察をしているとき。
動く物に興味を示し捕まえようとする傾向が強く、猫じゃらしなどの玩具がある。
群れは作らないが、地域の野良猫の密度が多い場合などは独立した縄張りをもつことが困難で、ある程度の順位が存在する。そのような猫達は同一の場所に定期的に集まり、「猫の集会」などと呼ばれる。複数飼いなどではじゃれ合ったり互いにグルーミングしたりといったコミュニケーションをする。また、初対面のネコ同士が鼻をつけ合う事があるが、相手を確認する挨拶とされる。
長い威嚇行動を経たあとに双方引かない場合には衝突に発展し、威嚇には一方が低音で唸ると他方は高音で返すなどの特徴が窺える。けんか・格闘は、跳びかかりやすく有利な高所を制した側が優勢で、そのため、戦略的ポジションを探りながらの威嚇が長時間続く。格闘になるとほんの数秒で決着する。多くの場合、相手に痛手を負わすまでの闘いになるまでに勝敗が決する。
けんかをしている猫を抱き上げると、猛り立った猫は見さかいもなく主人にでも噛みつき、人がけがをする可能性がある。
暖かい場所を好む習性があり、室内で日の当たる場所がない場合、パソコンなど排熱が大きい機器の近くに移動することが多い。この際排尿することもあり、電子機器の破損に繋がることもある。
野猫の場合、特に冬季に寒さをしのぐために自動車のエンジンルームなどに入ることがあり、自動車の持ち主が気付かずにエンジンを始動してしまう事故がしばしば起きている。それを防ぐため、猫の多い地域ではボンネットなどを叩いて猫を逃がす猫バンバンが推奨されている。
「死期が近づくと姿を消す」との風説は、日本では遅くとも江戸時代にはみられていた。
イギリスの動物行動学者であるデズモンド・モリスは、この現象を「偶然ではなく、猫の行動の典型的な特徴である」と述べ、その理由を「『闘争・逃走反応』の一種ではないか」との推測を示している。1992年、アメリカのMcCuneは、「悪い環境に置かれた猫は、積極的に異常行動を示すというよりも、むしろ不活発になる」との調査結果を発表している。
動物生態学博士の山根明弘は、屋外にて事故や襲撃にあったり体調を崩してしまっても動ける余力のある場合は、猫にとっての安全な場所である人目につかない遮蔽物の多い狭い空間に本能的に身を隠すので、症状が深刻だと見つけることが出来る前にそのまま死に至るケースが多くなるため、人からは「死期が近づくと姿を消す」に見えてしまうことがあるとしている。往診専門動物病院の「わんにゃん保健室」院長を務める江本宏平によれば「猫は自分の死期を悟ると、飼い主にいつも以上に甘えたり、最後の力を振り絞って元気な姿を見せるなどの行動をとることが多い」という。また江本はその行動に対し「死期を悟った猫が飼い主に対し、感謝の気持ちを示しているのではないか」との見解を示している。
高い場所を好む傾向がある。その理由として、捕食者が簡単に近寄れない安全な場所であること、餌や脅威に対する広い視野と逃げ場所が得られること、序列を示すため他の猫より高い場所を目指すなどが挙げられる。
ある程度の高さから落下しても、体をひねり受け身姿勢をとって着地する(猫ひねり)。記録としては、固い地面ではマンション18階、植え込みなどの柔らかい地面では20階分、天幕などのクッションとなるものがあると28階分で無事であった。しかし、高層マンションや高い場所からの落下が多くなってくると、鼻出血・硬口蓋裂傷・気胸などになるケースも多くなり、それらはまとめて高所落下症候群とされる。
箱や袋などに入ったり、家具の後ろやソファの下に隠れたりと、狭い場所を好む。狭い隙間を通り抜けたり、だらけきっていたり、容器にぴったりと納まったりしている姿から、「猫は液体」と言われることもある。
液体化した猫
ネコの本来の食性は肉食性である。たんぱく質や脂質を必要とし、半野生的な生活を送っている猫は、生きたネズミ・ウサギ・鳥類といった小動物を捕食し、また飼育下に置かれている猫は与えられた獣肉・魚肉や、キャットフードなどからそれらの栄養素を摂取する。新奇性恐怖の性質があり、すぐには新しいものはあまり食べようとせず、過去に嫌な経験をした食べ物を学習(条件付き味覚嫌悪)する性質がある。猫がネズミを、実際にどの程度退治するかのある実験では、20回のうち3回程度だったという一例もある。
ネズミやスズメなどの獲物を捕まえた際、その場で食べずに安全な場所まで運んでから食べる習性がある。母猫の場合は仔猫に獲物を与えることで何が食べられるのかを教える。特に生きたまま与えることで狩りの訓練をさせるという側面がある。飼い猫や地域猫の場合も、よく懐いた人の元に獲物を持ち帰ったところを発見されることがある。
また、猫はエンバクなど背の低い草を食べる習性があり、その理由は未だ明らかでないが、毛づくろいのときにどうしても呑み込んでしまって蓄積した体毛を、草の繊維に引っかけて、まとめて排泄するためとする説や、植物性のビタミンや葉酸を草から直接摂取しているなどの説がある。どの猫にも共通しているのが、イネ科植物を好んで食べるということである。そのほかオリヅルランやテーブルヤシなどの単子葉植物の葉を食べることがある。また、キャベツやハクサイなどの葉物野菜やダイコン、カブといった根菜類の葉に興味を示して食べようとする個体もいる。ペットショップでは飼い猫用に「猫草」としてエンバクの芽ばえや種や栽培キットなどが売られている。
乾燥した地域を進化上の故郷とすると思われるネコ科は元来、飲水量が少ない動物で、体内で水を有効に使うために尿の濃縮率が高く、濃い尿を出す。そのため、腎臓への負荷が高く、猫の病気の7~8割は腎臓の病気である。特に塩分の摂りすぎには注意が必要である。また、水は水道水が最も理想的(日本のほとんどの地域では、水道水はミネラル含有量が少ない軟水)である。一部ミネラルウォーターの硬水に含まれるマグネシウムは猫に対して高濃度に当たるため、腎臓などへの影響からも極力飲ませないようにするべきである。
人間が日常において嗜好・摂取する物の中で、ネコに対して有毒性を示す物品や物質や成分。基本的には市販のキャットフードなどを与えるのが好ましい。また、盗み食いにも注意が必要。
ネコやイヌにとってネギやタマネギ、ニンニク、ラッキョウなどといったヒガンバナ科の植物は極めて有毒とされている。ネギ類に含まれるアリルプロピルジスルフィドが、ネコやイヌの赤血球を破壊してしまい、貧血・食欲不振・呼吸困難・血尿・嘔吐を引き起こす。また、ユリ属の植物は特に有害であり、ユリ中毒を起こしてしまう。全ての部位に毒性があり、体毛に付着した花粉をなめただけで死亡した例や、チューリップの生花を挿していた花瓶の水を摂取したことで重篤となり、安楽死を選択せざるを得なかった事例も報告されており、アメリカの愛猫団体であるCFAは、これらの植物をネコに近づけないように勧告している。ヒヤシンスも同様に危険である。
また、ゆで汁やエキスなども有害であり、ハンバーグなどの練り製品、人間用のビーフジャーキー、すき焼き(の肉)、牛丼や茶碗蒸し、カップ麺などにも含まれることがあり、これらを口にすると中毒を起こすことがある。
アルカロイドを含む多くの植物は中毒の原因となる。また、種子類・球根は全て有害と考えられている。
イカなどに含まれる酵素であるチアミナーゼ(サイアミナーゼ)はビタミンB1を破壊するため、長期にわたって多量に摂取した場合、背骨の変形を引き起こす可能性がある。これが「イカを食べると腰を抜かす」といわれる所以である。チアミナーゼは、イカ・タコ・貝類といった軟体動物のほか、エビ・カニなど甲殻類やコイ・ワカサギなどの淡水魚にも含まれている。しかし、チアミナーゼは熱によって失活するため加熱すれば問題はなく、イカ・タコなどはネコにとっての必須栄養素であるタウリンを豊富に含むため、ネコには好まれ、イカ入りのキャットフードも存在する。ただし、イカ・タコなどは消化があまりよくないため、多量に摂取すると消化不良を起こす可能性がある。
死亡する危険はないが、春先のアワビやサザエは餌としている海藻に含まれるクロロフィルをピロフェオホルバイド a という毒成分に変質させて、動物の体内に摂り込まれた状態で日光に当たると光過敏症を起こす。ネコの体は被毛で覆われているため、たとえ日に当たっても光は皮膚までは届かず問題ない。しかし、耳だけは被毛が薄く、毛細血管にまで日光が届く。そのため、光過敏症で炎症を起こして激しいかゆみを生じる。ネコは耳を激しくかきむしり、取れるまでそれを続けてしまう。あるいは、毒成分によって耳の組織が壊死してしまい、取れてしまう。味付けされないノリは与えても構わないがミネラルが多いため量を制限(日量3g程度)する必要がある。過剰に摂取した場合尿路結石症などに罹る恐れがある。味付け海苔はナトリウム過剰摂取の可能性があるので与えない方が良い
アメリカの動物毒性コントロールセンターの調査・研究によると、原因物質は解明されていないが、ネコやイヌが摂取すると2-3時間後に嘔吐・下痢・食欲不振・腰痛が引き起こされ、3~5日後に腎不全の症状が発現し、最悪の場合は死に至るケースもあるとしている。
塩分は生体機能を維持するために必要であるが、ヒト向けに味付けされた食品の塩分量では一般に多すぎる。発汗に伴って多量の塩分を失うヒトに対し、ネコはほとんど汗をかかないことによる。塩分の摂り過ぎは腎臓に大きな負担をかけるので、塩辛い食品を安易に与えてはいけない。これはネコ以外にも当てはまり、ヒトの塩分に対する要求量/許容量が他の大半の陸生動物より高いことは認識しておく必要がある。
人間用のかつおぶしには塩分が多く含まれており、過剰摂取には注意が必要である。猫用のものをトッピング程度に与えるのが望ましい。
子猫は離乳に伴い体内のラクターゼが少なくなるため、離乳後に乳糖を長く摂取しない環境にいた場合、人間の大人と同じくネコでも乳糖不耐症になる可能性があり、乳糖不耐症のネコに多量の牛乳を与えると下痢になる場合がある。
猫の乳は脂肪とタンパク質を牛乳より多く含んでおり、子猫のうちに母乳ではなく牛乳を与えると、カロリー不足やタンパク質不足になる可能性がある。このため、ミルクを与える場合には猫用(年齢により子猫用か成猫用かを選択)のものを使用するのが好ましい
カカオに含まれるテオブロミンを代謝する能力がとても低いことから、大量に摂取した場合、下痢、嘔吐、興奮、痙攣、脈の乱れ、血尿などの中毒症状が現れ、最悪の場合、突然死することもある。
コーヒー、紅茶、緑茶、栄養ドリンクなどに含まれるカフェインはテオブロミンと似たような中毒症状を起こす。
リンゴ、アンズ、モモ、プラム、スモモ、サクランボ、アーモンドなどの枝、葉、種に含有される青酸配糖体が体内で青酸に変化し、呼吸困難、虚脱、痙攣、チック症状に陥り、最悪の場合は死に至る場合がある。
ナス、トマト、ジャガイモ、ピーマン、ホオズキなどのナス科のほとんどの植物にネコに有毒なソラニンが含まれている。個体差があるが、ネコの場合は2~10mgが摂取量の上限であり、それを超えると過流涎、食欲不振、胃腸障害、下痢、中枢神経系の抑制、虚脱、散瞳、心拍数低下などに陥る場合がある。最悪の場合は、心筋梗塞を起こし死に至る。
血液中に吸収されたアルコールが許容量を超えると、脳や体の細胞を破壊する。そのことから、嘔吐、下痢、神経症状、呼吸困難、ふるえ、昏睡に陥る場合がある。最悪の場合は死に至る。
食べ物以外では、精油(エッセンシャルオイル)の吸引、皮膚・経口摂取や、人が飲用・服用する経口薬をペットに与えるのは避けるべきである。ネコの体を舐める習性を考慮して、頭髪や皮膚に塗布する養毛剤、湿布薬などの外用薬にも注意を要する。